君に会いたくて


そう説明すると、紗枝はくすくすと笑い出した。



「……なんだよ」


「ごめんごめん。なんだか、想像つかなくて。直樹くんがお弁当箱を洗う姿」


「……そうかな」


「うん。……でも……ありがとう」



お腹を抱えながら笑っていた紗枝が、突然、穏やかな表情になる。




「あたしのお弁当、食べてくれて。お弁当箱まで洗ってくれて」


「いや、いいよ。また……」



作ってきて。

思わず口をついて出そうになった言葉を、俺は慌てて呑み込んだ。


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