君に会いたくて


亮太から連絡が来ていないと言ったのは、俺に弁当を渡すための口実なんじゃないか。


あの弁当は、俺のために作ってくれたんじゃないか。


だからこそ、あのメッセージには『亮太くんへ』という宛名書きがなかったんじゃないか。




――そんなこと、あるわけないだろう……。



亮太が言うように、きっと俺の勘違いだよ。



「おはよう、直樹くん」


「……おはよう」



紗枝の口から、昨日の弁当の話も、交換した携番の話もまったく出てこない。

何事もなかったかのように振舞っている。


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