君に会いたくて
うつむいて、「気のせいだろ?」とボソボソと呟くようにして言う。
「ふうん」
紗枝は、疑うような口調でそう言ったきり、何も突っ込むことはしなかった。
女が苦手なわけじゃない。
同じクラスの女子とは普通に喋れているし。
軽いスキンシップだってする。
紗枝ともそんなふうに接したいのに。
もっと打ち解けて、ふざけあったり、バカな話でもして弾けたいのに。
紗枝といると、いっつもドキドキして。
つい、無口な男になってしまうんだ。