君に会いたくて
「直樹ー! あんた、ケーキ食べるでしょー?」
――夜。
おふくろが腕をふるったご馳走。
最後のチキンにかじりついていると、キッチンからおふくろが大きな声で聞いてきた。
「俺、少しでいい」
甘いものはどうも苦手で。
だからと言って、朝からケーキを焼いていたおふくろのことを思って、少しだけでも食べようと思った。
――ピンポーン……
俺の前に小さなケーキの切れ端が出されたとき、玄関のチャイムが鳴った。