先生。
高校生活が始まって1週間ちょうどに、まだまだなれてない人たちと同じ部屋で寝ることになった。
宿泊行事が仕組まれていた。
出席番号順に部屋を割り振るなんて頭がおかしいんじゃないかと思う。
クラスのカースト制のてっぺんに君臨する女子と一部屋だなんて殺しにかかってるとしか言いようがない。
宿泊行事とはいえ、内容は集団演技の練習というハードなもの。
というか、クラスの人は私の名前を覚えてくれているのかな。
思えば、自己紹介の時の私の声は壊滅的に小さかったと思う。
さんざん事前に考えたのに、いざとなると頭が真っ白になって、しょうもない自己紹介になった。
『桐谷楓です。〇〇中学校からきました。中学では吹奏楽部に所属していました。よろしくお願いします。』
薄い内容に小さい声。
きっと、記憶の奥底にいれられているんだろうな。
いや、もしかしたら記憶にもなかったりして…
陰キャラでネガティブは重症だ。
だけど、勇気を振り絞って、話しかけたことがない子と一緒に行動するまでには精進した。
中川さとりちゃん。
新たにできたお友達。
私は嬉しくてたまらなかった。
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