クールすぎる藤堂くんが本気になるなんて!?
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あれから『また明日な』なんて不敵な笑みを浮かべて5組の方向へと消えてしまった藤堂くんに、返す言葉も見つかないまま見送った私は、
廊下いっぱいにぶちまけた水と雑巾、バケツの後片付けに追われ……。
教室に戻るのが遅かった私を見兼ねた柚子と美香(みか)が迎えに来てくれた頃には、やっと床の水を綺麗に拭き終わったところだった。
「シンプルに理解に苦しむ」
「ちょ〜〜〜羨ましいんですけど!何その展開!」
そして今、朝礼前の教室で昨日の事の発端を話し終えた私に猛烈に渋い顔をしている柚子と、眼球宝石かよってレベルで目をキラキラ輝かせている美香。
私と柚子と美香。
3人揃っていつものメンツってやつ。
美香はとにかくミーハーで、サバサバ姉御肌な柚子とは対照的な夢見がち系女子。
よって、学園の王子様である藤堂くんとのハプニングをうんざりした顔で報告した私に対しても、この目の輝かせようってわけだ。おまけに『羨ましい』とまで言い放った。
何も羨ましいことなんてないっての。
あーあ、時間が戻せるなら昨日の清掃時間より前に戻りたい。藤堂くんに水ぶっかける前に戻りたい。
『お前のことが欲しくなった。
これから毎日会いに行く』
藤堂くんの言葉を思い出しては、どういう意味なのかと頭を抱えるしかない私。
あーもう!だめだ、考えすぎて吐きそう。
とりあえず今日は1日ひっそり過ごすと決めている。
絶対に絶対に藤堂くんと鉢合わせるわけには行かないのだ。