クールすぎる藤堂くんが本気になるなんて!?
♡Chapter Ⅱ
迫り来るクール王子
***
暑い。暑すぎる。
こんな狭い教室の中で授業を受けるなんて、酸素濃度低すぎだし!
なんて思いながら、窓際の特権とばかりに窓へと手を伸ばした私は迷わず窓を開放した。
気持ちいいよそ風が私の頬を撫でて、火照った体から熱を吸い取っていく。あぁ、窓際サイコー!
「……あっ」
なんて、授業そっちのけで風を浴びていた私は、グラウンドに藤堂くんを見つけて思わず小さな声が漏れた。
慌てて周りを確認したけれど、どうやらみんな授業に集中しているらしく、私の小さな声には気づいてない様子だ。
ホッと胸を撫で下ろしながら、再び窓の外へと視線を向ければ、やっぱり私の席から見える位置にグラウンドでダルそうにしゃがみこむ藤堂くんがいた。
どうやら5組は体育の真っ只中らしい。
そう、藤堂くんは5組で、私は2組。
クラスが違えばいくら同じ学校の同じ学年とは言え、早々出会うこともない!
そう、思ってたのに。
ここ最近の私は、あろうことか校内のあちこちで藤堂くんをよく見かけるようになった。
制服姿の藤堂くんは、やっぱり毎日懲りもせずに会いに来るけれど、ジャージ姿はまた普段と雰囲気が違って新鮮。
ただの学校指定の半袖Tシャツに、ただの学校指定のジャージのズボンの裾を数回折ってるだけなのに、
なんだろう、あのスポーツブランドのジャージを着ているかのような輝き。
さすが王子様は違うのね。