クールすぎる藤堂くんが本気になるなんて!?
おまけに、かの有名な"藤堂財閥"の御曹司で、お父さんは社長!おじいちゃんは会長!
兎にも角にもとんでもないお坊ちゃま。
このルックスで、御曹司と来たら……女子たちが放っておくはずがない。
ま、花より団子が座右の銘の私にはまーったくもって関係の無いお話何だけど。
ちなみに私のパパも藤堂財閥の子会社に務めている一サラリーマンで、そんなパパに常々言われているのは
『藤堂財閥のご子息とのトラブルだけは絶対に起こすなよ?パパの首が危ないから!』
とか言う、あまりにも情けない言葉だったりしたんだけど、
トラブルなら、たった今起きてしまったところだ。
「……おい」
───ビクッ
目の前では眉間に深い深いシワを刻んだ藤堂くんが、暗黒のオーラを滲ませながら私を見下ろしていて、
廊下を通る生徒たちが、絶体絶命の私に哀れみの目を向けながら早足に通り過ぎて行く。
「ほ、本当に本当にごめんなさい!
あの、私ハンカチ持ってるから」
そりゃ誰だって怒るよね。
だってバケツの水をぶっかけられたんだもん、しかも使い終わったあとの雑巾入り。
でも、ここはパパの為にもどうにか穏便に事を済ませなくてはいけないのだ。