クールすぎる藤堂くんが本気になるなんて!?
何度も言いますが生憎、私は花より団子。
おまけに昔から少しばかり勝気な性格で。
そう、だからこんな時は必ずと言っていいほど、
「さっきから黙って聞いてりゃ偉そうに!
確かに……確かに水ぶっかけた私が悪いし、ハンカチなんかじゃ到底どうにもならないかもしれないけど!
仮にも王子って呼ばれてるんだから、もっとスマートに紳士な対応できないわけ!?」
相手が誰なんて関係なしに、勢いだけで噛み付いてしまう。
「は?」
「挙句、人がこんなにも謝ってるのに、そのバカにしたような態度!!!
あーもう、あったま来た。
御曹司の王子様だか何だか知らないけど、自分が世界の中心だとか思ってたら大間違いなんだからね!
この性悪王子!!」
肩で息を吸う。
これでもかってくらい、酸素を節約して一気にまくし立てた私は、数回深呼吸を繰り返した後で徐々に冷静さを取り戻して、
───シーン
静まり返るこの場の空気に、今度は消えてしまいたい衝動に駆られている。
……藤堂財閥の御曹司様に、もしかして私『性悪王子』とか言いましたか?
いくら私でも……喧嘩売る相手間違えたんじゃないの、これ。
視線だけで私を殺せそうな藤堂くんに見つめられ、さっきまでの威勢はどこへやら……。何を言われるのかと内心ビクビクしてる。
……パパ、ごめん。
佐倉家おわったかも。
「名前とクラス、それから連絡先」
「え……?」