死んだ元姫の私がゴスロリ豚になったら、問題しかないんですけど、どうしたらいいでしょうか!
考えろ、私。
これは、ケンカだ。
安藤。
ストレスなんかに負けんじゃねぇ。
お前のセコンドには、ここらでは負けなしの嵐堂大和様がついてる。
ストレスなんて、ザコいやつ。
そっこーで、ねじふせてやる。
意識を集中する。
「うっ…」
朝食べた唐揚げが、食道のはしごを登り始めた。
ストレスは、どうやら色々な方向から来ている。
特に学校の方向と言うわけではない。
「……っ」
さらにストレスを感じとる。
唐揚げたちがゴキゲンで胸のあたりのはしごを登ってくる。
上と下からはない。
顔をあげて周りを確認する。
特におかしいところのない、普通の光景。
「ぬ……!」
しかし、唐揚げたちは猛烈な勢いで、のどの辺りまで駆け登ってくる。
ストレスの現況は必ずどこかにある。
普通の、登下校の風景。
普通の道。
普通の人。
普通の天気。
普通の制服。
まてまて。
これは、私の『嵐堂』の普通だ。
『安藤』の普通はきっと違う。
考えろ。
程度は違えど、私だって少しくらい似たような体験してるはずだ。
全身に粘りつくようで、
全身を突き刺すような、ストレス。
私の中の、ストレス辞典を高速でめくる。
急げ。
唐揚げたちは、のどの先まで来ている!
なんのストレスだ。
なめ回されるような、気色の悪さ。
試されるような、胸くその悪さ。
「あ」
私の頭に、3文字の単語が飛び込んだ。
『メンチ』
そうだ、ジロジロ見られることへのストレス!