オオカミ弁護士の餌食になりました
それから少し気分が高揚し、私は宮田と小一時間ほど飲んで店を後にした。
家まで送ると、いつもよりしつこく言ってくる彼をかわすのが大変だったけれど、どうにかひとり暮らしのマンションまで帰り着いた頃には十一時を過ぎていた。
電気を点け、よろけながら靴を脱ぐ。
少し飲みすぎたかもしれない。
香坂さん以外の人に触られても拒否反応が出ないという事実は、私を勇気づけてくれたけれど、反対に、寂しい気持ちにもさせた。
「恋人ごっこも、終わりにしたほうがいいよね」
キッチンに立ち、ミネラルウォーターをコップに注いでから、絡みつくなにかを断ち切るように、一気に飲み干した。