オオカミ弁護士の餌食になりました
「午後でいいから、ここに入ってる書類を全部スキャンしておいてくれないか」
「承知しました」
ファイルを受け取りながら答えると、彼は笑顔をつくった。いつもとちがう、頬が引きつったような不自然な笑みだ。
「さっきの、宮田君だっけ? 彼と飲みに行ったの?」
「ああ、はい」
「ふたりで?」
「ええ」
「恐怖症なのに?」
笑顔で詰め寄られ、私はじりじり後退しながら答える。
「彼は同期ですし、弟みたいな感じで男って感じがしないから。それに相談があるって言われたら断れないじゃないですか。ていうか、なんの尋問ですかコレ」
私をドアまで追い詰めると、香坂さんは前のめりになっていた上体を起こした。