オオカミ弁護士の餌食になりました

「香坂、さん?」

「告白されたって、なに」

 いつも微笑みを絶やさない彼の顔から、柔らかさが消えていた。代わりに浮かんでいるのは、こわばった表情だ。

「触られたって、なんだよ」

 苦しげな声に呆気にとられた瞬間、腕を掴まれた。持っていたファイルが落ちて、ばさりと資料が散らばる。

「こ――」

 香坂さん。

 そう口にする前に、唇が重なっていた。

 ドアに押し付けられるようにして、香坂さんにキスをされている。

「んんっ」

 広い胸を押しのけようとしても、びくともしなかった。

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