オオカミ弁護士の餌食になりました
唐突に触れられて心臓が跳ねたけれど、さっきのような拒絶反応は出なかった。
私と香坂さんを交互に見ていた商社マンが、みるみる顔色を変える。
「か、彼氏いるなら、合コンに来んな! くそブス!」
小学生のような捨て台詞を吐いて、彼は逃げるように通りを戻っていった。それをしばらく見送ってから、香坂さんが私を振り返る。
「大丈夫か?」
「大丈夫です。ありがとうございました」
私から手を放し、彼は心配そうに顔を覗き込んでくる。
「全然大丈夫って感じじゃなさそうだけど……。ちょっと、座れるところにいこうか」