オオカミ弁護士の餌食になりました
タオルをたたんで急ごしらえの鍋掴みをつくり、私はトースターからアルミ皿を取り出してふたりがけダイニングテーブルに置いた。こんがり焼けたチーズの匂いに、香坂さんが目を輝かせる。
「すごい……ドリアだ」
香坂さんは普段料理をしないらしく、冷蔵庫には飲み物しか入っていなかった。
ふたりでマンションの一階に併設されていたミニスーパーに買い物に行き、このあいだの食事のお礼に、という建前で私が夕食の支度を買って出た。
コンロ口が三つもある広いキッチンを借りて作ったのは、牛乳とバターを使ったホワイトソースのドリアと、キャベツとにんじんのコールスロー、そして玉子スープだ。
耐熱皿もなかったから、ドリアの皿はアルミホイルを重ねて作った急ごしらえのものだった。