オオカミ弁護士の餌食になりました

 肩で息をするように少しだけ呼吸を乱して、彼はつぶやいた。

「片づけは、もういいよ」

「え……」

 目を潤ませ、苦しそうに眉根を寄せて、言う。

「家まで送る」


 突然の送る宣言に、なにかやらかしたかなと不安になっていると、香坂さんは右手で自分の額を抑え、まるで自分を落ちつけるように息を吐いた。


「このまま君にここにいられたら、たぶん俺は襲いかかる」







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