オオカミ弁護士の餌食になりました
彼の微笑みや甘いささやき、体に触れたぬくもりを思い出しては、あたたかで少しみだらな感情に胸を満たされている。
恋人ごっこなんていつか終わりが来るのだから、彼への気持ちがこれ以上大きくなるのは避けたいのに、心はちっとも言うことを聞いてくれない。
なるほど、これが恋心なのか、と思った。
恋愛熟練者を装い、本やインターネットの知識を総動員して幾度となく友人たちにアドバイスをしてきたけれど、自分で体感するのははじめてだった。
コントロールできない気持ち。なかなか厄介なしろものだ。
でも私は会社員でお給料をもらっているのだから、仕事はきちんとしなければならない。
理性を奮い立たせ、言うことをきかない感情をどうにか追いやり、もう一度パソコン画面に目を向けた。