オオカミ弁護士の餌食になりました

「俺たち、付き合ってるってことでいいんだよな?」

「……ん?」

 予想外の方向から言葉をぶつけられて、私は首をひねった。それから、創作居酒屋で飲んだときのことを思い出す。

 そういえば、好きだ、と言われたのだったっけ。

「ごめん。返事してな――」

 その瞬間、宮田はいきなり覆いかぶさってきた。

「っ」

 真正面から抱きしめられ、声が出なくなる。

 腕を掴まれたときとは全然ちがっていた。

 自分の体を包む重くて硬い感触に、ぶわりと悪寒が走る。手が震えて、身をよじることも振りほどくこともできなかった。

 頬にあたる宮田の髪と、背中に回された腕の感触に、背筋がこわばる。

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