オオカミ弁護士の餌食になりました

 弁護士を相手にするのは不利だと感じたのか、宮田は「こちらこそ、すみません!」と言うと、逃げるように倉庫を出て行った。

 胸を押さえながら、私は静かに閉じるドアを見る。

 ごめん、宮田。

 心の中で謝りながら、自分を落ち着けるように息を吐いた。それでも体の震えはおさまらない。

「大丈夫か?」

 私を助けてくれた彼が、両肩を掴んで心配そうに見つめてくる。

「こ……さか、さん。私、まだ……治ってな」

 こわばった体が、ふいにぬくもりに包まれた。

 私をぎゅっと抱きしめて、彼はたまりかねたように言う。

「ごめん、やめよう」

「え……?」

 私の頭を大きな手で支えながら、香坂さんは苦しそうな声を出す。

「恋人ごっこは、もうやめにしよう」


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