オオカミ弁護士の餌食になりました

 こわばったままの胸に、ずきりと痛みが走った。

「やめる……?」

 いつか終わりがくるのだからと自分で言い聞かせていたのに、いざ彼の口から聞くと胸がえぐられるように痛んだ。

 悲しみが洪水のように襲い掛かってきて、なにも考えられなくなる。

「治らなくていい」

 香坂さんの声は、微かに震えている。

「治す必要なんてない」

 耳を疑った。

 私の体に出る拒絶反応を、彼は必死に治そうとしてくれていたのに。急にそんな真逆のことを言い出すなんて。

「なんで……」

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