オオカミ弁護士の餌食になりました

「君は、俺と結婚して、俺と結ばれて、俺との子どもを授かればいい」

「え……」

 今、なんて。

 気が付くと、体の震えがおさまっていた。

 香坂さんに抱きしめられた途端に、そのぬくもりに溶かされるようにして、いつのまにか消えている。

 そんな私の体を少し離すと、彼は濡れた瞳で私を見下ろした。

「君に触れるのは、俺だけで十分だろ」

 胸が震える。

 拒絶反応とは正反対の、制御できない感覚が、全身を覆っていく。

 私を抱きしめる手に力を込めて、香坂さんはささやいた。

「真凛……本当はずっと、君のことが好きだったんだ」





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