オオカミ弁護士の餌食になりました
――俺が真凛ちゃんの恐怖症を治したら、彼女を嫁にもらっていいか?
香坂さんの目がちっともぶれないから、私も動けなかった。
急に頬が火照って、慌ててショートカクテルに視線を移す。
そして、いつか兄が泣きながら言ったという言葉を思い出した。
『あいつが幸せになるのを見届けるまで、俺は絶対に結婚しない』
「香坂さんは、私たち兄妹のことが好きって……」
いまだに注がれている香坂さんの色気たっぷりの視線から逃げつつ口を開くと、彼は小さく笑った。
「そうだよ。真凛ちゃんの恐怖症を治して、君を嫁さんにもらって、海斗にも心置きなく所帯を持ってもらえば、君たちをまとめて幸せにできるって思ったんだ」