オオカミ弁護士の餌食になりました

 そう言って、人目もはばからず私の手にキスを落とす。

「なあ真凛、君を俺のものにしていい? 心も体も、この先ずっと」

 香坂さんはいつもどきりとするようなことを言う。でもそれらは、一度たりとも偽りの言葉ではなかったのだ。

 意を決して、私は深い色の目をまっすぐ見返した。

「……私は最初から、香坂さんじゃないとダメでした」

 彼の瞳が揺れる。

 重なった手がするりと動いて、指が絡んでいく。

「私に触れるのは、この先もずっと、香坂さんだけ」

 感じ入るように目を閉じて、彼は私の手をきつく握りしめる。

 心臓の鼓動は、荒療治をはじめた最初の頃に比べてずいぶん大人しくなったけれど、香坂さんに触れられるとやっぱり高鳴ってしまう。

「真凛……好きだ」

 私の耳もとに口を寄せて、誰にも聞かせないように、ふたりだけの秘密にするように、香坂さんは甘く甘くささやいた。




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