オオカミ弁護士の餌食になりました
✧ ✧ ✧

 男性というものをなかなか信用できなかった私が、二十六歳にして恋に落ちた相手は、四つ年上の弁護士、香坂千暁だった。

 ただ、法を司る法律家といっても彼はやっぱり男で……むしろオオカミに近い気がする。

 ノートパソコンをかばんにしまい、香坂さんが私を振り返った。

「それじゃあ、帰ろうか」

「……」

 データルームの電気を消して外に出ていく後姿に、無言で続きながら訴える。

 名実ともに付き合いはじめて二週間。

 毎日のように会社帰りにタワーマンションに強制連行されて、その都度おいしくいただかれている私としては、そろそろ体がもたないのですが。

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