オオカミ弁護士の餌食になりました

 そのせいで、彼氏ができたとしても、フラれてばかりだった。

「笑っちゃう」

 力なくこぼれた言葉に、香坂さんは不思議そうな顔をしている。

「友達に偉そうに恋愛指南しておいて、自分は未経験だなんて」

 それは私の秘密だった。

 遊んでいそうとか、色気があるとか言われるこの見た目のせいで、なおさら誰にも言えない、私の恥の部分。
 
 目を上げた瞬間、香坂さんと視線がぶつかって、はっとする。

「すみません愚痴っちゃって。もう大丈夫なので」

 立ち上がった私の顔をじっと見下ろし、彼は少し厚めの形のいい唇を開いた。

「俺が触るのは、大丈夫なんだよな?」

 確認するように、彼はそっと私の胸に流れる髪に触れた。緩く巻いた髪をなぞるようにつまんで、私に目を戻す。


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