オオカミ弁護士の餌食になりました
「なるほどね、そういうこと!」
そうか、くっついたのね、と納得する。
仕事中は気を張って頑張っている和花が、心を乱されてミスを連発してしまうくらい想いを寄せていた相手は、社内で鬼部長とささやかれている冴島部長だった。
いつも部下に厳しい態度で臨んでいる鬼部長と、話していると気が抜けそうになるほどおっとりしている癒し系の和花。
あまりにもお似合いで、思わず笑いがこぼれる。
「もう早く言ってよ! びっくりしちゃったじゃない! でも納得だわぁ」
「真凛……酔ってる?」
和花に言われて、私はさきほどの商社マンのことを思い出した。
「なに言ってるの。一杯飲んだだけで酔うわけないじゃない」
言いながら辺りに目をやる。いつのまにか、香坂さんの姿が見えなくなっている。