オオカミ弁護士の餌食になりました


 視線が痛い。

 ワイングラスに口をつけながら、心の中でため息をついた。

 人選ミスも甚だしいよ、眞木。

 となりで赤い顔のまま盛り上がっている後輩に内心で文句を言い、一杯飲んだら帰ろうと心に決めた。

 人数が足りないんです、先輩がいれば男連中も文句ないだろうし、お願いします、と土下座する勢いで誘われた合コンに、最初だけとはいえこうして参加したのだから、かわいい後輩の顔は立てられたはず。

 混雑したカジュアルレストランの窓側に用意された八人がけテーブルには、それぞれ四人の男女が向き合って座っている。

 体にぴたりと合うスーツに洒落たネクタイを締めて、いかにも女慣れしていそうな男メンツは、どこぞの商社マンだという。

 そんな彼らに熱い視線を送っているのは、一つ年下で高校時代の後輩である眞木絵里奈(まきえりな)が連れてきた見ず知らずの女ふたり。


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