オオカミ弁護士の餌食になりました

 こんな素敵な男性が、どうしてうちの兄なんかの友達をやっているのか、今も昔も、不思議でたまらない。

 兄の海斗は、ひと言でいえば強烈なシスコンだ。

 連れ去り事件をきっかけに妹愛に目覚めてしまったらしく、私を守るため、という体でずいぶん好き勝手なことをしてくれた。

『真凛、いいか。男は獣だ。外面が良くても頭ではよからぬことばかり考えているんだ。絶対に近づいちゃいけない。とって食われるぞ』

 幼い頃からそう言い含められてきたのだ。

 そのうえ、私が中学生のときは自宅までラブレターを渡しに来てくれた男の子を追い払い、私の携帯に異性の名前を見つければ、それがただのクラスメイトであろうと勝手に相手に電話をかけて妹に近づくなと脅す始末。


< 22 / 157 >

この作品をシェア

pagetop