オオカミ弁護士の餌食になりました

「ありがちな話だけど、うちの親、結婚しろってうるさいんだよ。もう三十路だろとか、早く孫の顔を、とかね。だから、恋人のふりをして一度両親に会ってくれると助かる」

「え……ご両親に?」

「決まったパートナーがいれば、親も少しは落ち着くと思うから。こんなこと、誰にも頼めないからね。それこそ、借りをつくりたくないし」

 香坂さんは間違いなくモテるだろうから、恋人のふりをしてくれ、なんて頼めば喜び勇んで引き受ける女の子は多いはずだ。

 でも、そんなプライベートなお願いをしたら、相手は自分を特別だと勘違いをするだろうし、必要以上に香坂さんの私生活に踏み込もうとするかもしれない。

「なるほど……」

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