オオカミ弁護士の餌食になりました

 眞木の話が途切れたタイミングで、私はカバンを持って化粧室に立った。

 鏡の前で息をつき、懸命に場の雰囲気をよくしようとしていた後輩に、申し訳ない気持ちになりながらメッセージを送る。

【ごめん、急な用事が入ったから帰ります】

 眞木には今度食事でもおごるとして、今私ひとりが帰ったところで女は3人残っているのだから特に問題はないはずだし、眞木の友人たちにとってはむしろ私がいなくなったほうが都合がいいだろう。

 気づかれないように出入口に向かい、預けていたコートを受け取って外に出る。

 正面を横切る国道の向こうには、大小さまざまな大きさのビルが立ち並んでいて、午後九時をすぎてもぽつぽつ明かりが灯っていた。

 その中でひときわ存在感を放っている背の高いオフィスビルは、私が勤める会社が入居しているレインボータワーだ。


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