オオカミ弁護士の餌食になりました


 五月の連休が明けた火曜日。出社してコーヒーをセットするために給湯室に向かおうとしたら、後ろから「有村」と呼び止められた。

 まだ人がまばらなフロアの中、営業部の島から駆け寄ってくるのは、同じ歳の営業マンである宮田大輔だ。

「おはよう。早いね、あんたがこの時間にいるなんて」

「ああ……ちょっと用があって」

 宮田は短い髪をがりがりと掻くしぐさをして、探るような視線をよこす。

「どうかしたの?」

「あ、あのさ、急で悪いんだけど、今日、帰りに飯食いに行かないか?」

 色白の顔を少し赤らめるようにして言う宮田に、私はすぐさま答える。


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