オオカミ弁護士の餌食になりました


 今日の香坂さんは終日、外出だ。

 私はデータルームでの資料整理を終えると、彼から渡されていた書類をもとに、レート株式会社の取引銀行や関連企業にM&Aの承諾を取るための必要手続きをまとめていった。

 何十とある取引先の住所や連絡先をリストアップし、大まかなスケジュールを立てているうちに、一日はあっというまに過ぎてしまう。

 はっとして営業部の島を見ると、宮田の姿はすでにない。

 時刻は夜の八時。携帯を取り出して確認すると、香坂さんと宮田から一件ずつのメッセージが入っている。

 香坂さんのほうは、仕事についての他愛ない内容だった。三十分前に受信した宮田のメッセージを確認して、私は慌てて帰り支度をした。


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