オオカミ弁護士の餌食になりました

「おつかれ」とお互いにグラスを持ち上げて、私は黄金色の炭酸を喉に流し込む。

「はあ、おいしい。たまにはビールもいいね」

 普段はシャンパンやワインを好んで飲むけれど、仕事上がりの一杯目はビールのほうがおいしく感じられるような気がした。

 正面で突き出しに箸を伸ばしている色白男子を見て、なんだか不思議な気分になる。

「そういえば、ふたりで飲むのってはじめてかもね」

「あ、ああ……」

 男性をなかなか信用できない身としては、男とふたりで個室飲みなんて普通に考えたらありえない。

 でも宮田は同期ということもあって、ほかの男性社員よりは気心が知れている。そして入社当時の初々しい頃を知っているせいか、どうにも男性という気がしなかった。

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