オオカミ弁護士の餌食になりました

 兄の海斗や香坂さんと比べてしまうせいもあるかもしれないけれど、どこか頼りない弟みたいに思えてしまう。

 でも、触られたらきっと拒絶反応は出てしまうのだろうけれど。

「で、どうしたのよ。転職でもすることにした?」

「いや……」

 今日はなんだかずいぶん歯切れが悪い。首をひねって、私は運ばれてきたシーザーサラダを取り分ける。

「営業の仕事は、どう?」

「うん、まあぼちぼち」

「大慶食品の統合作業で、ずいぶん活躍したっていうじゃない」

 からかうつもりで言うと、宮田はなぜか「ああ」と言って決まりが悪そうに目を伏せた。

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