オオカミ弁護士の餌食になりました
「それなんだけどさ……」
背中を丸めて、気後れしたように私を見る。
「実はあのアイデア、小松の提案なんだよね」
いきなり和花の名前が出てきて、事情が呑み込めないまま目をぱちくりしていると、宮田はあああと呻くようにうなだれた。
「小松が会議の前に俺に言ってきたんだよ。大慶食品にホワイトリテイリングのPB商品を請け負わせたらどうかって。それを会議で俺が提案したまではよかったんだけど……」
グラスに三分の一ほど残っていたビールをぐいと飲みほし、宮田は続ける。
「冴島部長から、いいアイデアだった、お前が考えたのかって聞かれてさ、とっさに『はい』って答えちゃったんだよな。その場に小松もいたのにさあ」
あああと再びうめき声をあげ、首を左右に振る。