オオカミ弁護士の餌食になりました

「それなんだけどさ……」

 背中を丸めて、気後れしたように私を見る。

「実はあのアイデア、小松の提案なんだよね」

 いきなり和花の名前が出てきて、事情が呑み込めないまま目をぱちくりしていると、宮田はあああと呻くようにうなだれた。

「小松が会議の前に俺に言ってきたんだよ。大慶食品にホワイトリテイリングのPB商品を請け負わせたらどうかって。それを会議で俺が提案したまではよかったんだけど……」

 グラスに三分の一ほど残っていたビールをぐいと飲みほし、宮田は続ける。

「冴島部長から、いいアイデアだった、お前が考えたのかって聞かれてさ、とっさに『はい』って答えちゃったんだよな。その場に小松もいたのにさあ」

 あああと再びうめき声をあげ、首を左右に振る。

< 93 / 157 >

この作品をシェア

pagetop