オオカミ弁護士の餌食になりました
「だってあの冴島部長だぜ? 笑ったことなんかないだろってくらい無慈悲に金棒振り回すような鬼部長が、いいアイデアなんて言うからさあ」
私はいつかレインボータワーのエントランスで見た光景を思い出していた。
和花の腰を引き寄せてキスをしていた冴島部長。そしていいアイデアの本当の発案者だったという和花。
そのふたりができているとも知らずに、宮田はとんでもないことをしてしまったらしい。
「……ドンマイ」
それ以外、なんて声をかければいいだろう。
まあでも、和花の性格からして、いくら冴島部長が彼氏だといっても告げ口なんてしないだろうと思った。
ただ、冴島部長のほうは彼女がなにも言わなくてもすべてを把握していそうだけれど。