オオカミ弁護士の餌食になりました
徐々に赤面していく宮田を見ながら、ふと考える。
そういえば、荒療治の効果って、出ているのだろうか。
香坂さんが『知り合いの男性』から『好きな人』に変わってしまったことで、荒療治の意味がなくなっている気がしていた。
彼に触られると、拒絶反応云々よりも胸の高鳴りがひどくて、感情が出ないように抑えるので精いっぱいなのだ。
今、香坂さん以外の男の人に触られたら、私の身体はどう反応するのだろう。
「す、好きだ、有村」
「ねえ宮田、ちょっと触ってみてくれない?」
「はっ!?」
左腕を伸ばす私に、彼は戸惑ったように目を丸める。
「え、触るって、なに、なにを……」
「私の手首。ぎゅっと掴んでみて。強めに」