結婚のその先に
啓吾は栞菜の『置いていかないで』が嬉しかった。

栞菜の感じている孤独を自分が埋めてあげたい。

栞菜が素直に気持ちを伝えてくれることはほとんどない。だからこそ、嬉しかった。

「絶対に置いていかない。約束する。」
そう言って唇を重ねる啓吾。愛しさを込めた口づけは栞菜の罪悪感を大きくした。



ひとつの傘に体を寄せ合い家路につくふたりは、心はすれ違ったままだった。
< 131 / 279 >

この作品をシェア

pagetop