結婚のその先に
日付がかわり明るくなっても眠れなかった栞菜は隣で眠る啓吾を見つめながらごめんなさいと繰り返した。


「顔色悪いぞ?大丈夫か?」
式場へ移動するタクシーのなか啓吾が栞菜の顔をのぞきこむ。
「うん」
「緊張して眠れなかった?」
「うん」
「俺、熟睡だった。」
「うん」
ぎこちない返事を繰り返す栞菜の肩を啓吾は抱き締めた。

自分にはこうしてあげることしかできない。
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