結婚のその先に
「おめでとう」
花嫁の控え室に入ってきたのは栞菜の母。
ウェディングドレスに着替えた栞菜は式が始まる前に鏡を見ながら覚悟を決めていた。

「栞菜…しっかりつとめてね。妻と、秘書と。高宮を忘れないようにね。」
「はい…」
「きっと良輔も…喜んでるわ…」
そこで言葉につまる母。まだ母は兄の死から立ち直れていない。きっと無理なんだろうと思う。

もしも死んだのが私だったら…高宮もお父さんもお母さんも啓吾さんも違う人生を歩めたのかな…。

不甲斐なさに時々押し潰されそうになる。
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