結婚のその先に
「飯村物流との取引の交渉は進めていたけど高宮とのことは知らなかった。」
「私も知りませんでした。」
啓吾の言葉に翠が続く。
「それはまずいな…。ちょっと時間をくれないか?取引の見直しをしてみる。」
「高宮からの取引内容の改善案を飯村物流に提出しました。藤崎財閥が高宮の不利益に加担するのであれば高宮も黙ってはいられません。」
「どういうことだ?」
啓吾は再び鋭い視線を向ける。
「私は高宮の人間です。今回の件は私も取引交渉に、高宮として参加します。」
「…俺が言ってるのは両方の財閥にとっての利益に関してで争うことじゃない。」
「じゃあどうしてなにもそうだんしてくださらなかったんですか」
栞菜がまっすぐに啓吾を見る。
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