結婚のその先に
「子会社の生産しているものすべてと生産にかかるコスト、生産物の流通ルートや需要見込みなど専門業者への聞き取りが中心です。」

ものすごく分厚い資料には高宮、藤崎、両財閥の情報が細部まで載っていた。

栞菜自身も知らないことばかりのその資料は誰もがどれだけ手間をかけて作ったのかがわかるようなものだった。


啓吾はほとんどひとりでこの資料を作った。

栞菜は涙をこらえるのに必死だった。

啓吾の熱意に加えて自分自身をいかに大切にしてくれているかが伝わる。

形は違っても栞菜には自分へのラブレターのように思えた。
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