結婚のその先に
次は栞菜が頑張る番だと思った。
栞菜は啓吾の方へ進む。

今度は啓吾が止めても足を止めなかった。

深々と株主にお辞儀をすると話し出す。

「高宮栞菜です。」
一斉に株主たちが栞菜を見る。

その視線の鋭さと冷たさに栞菜の心が折れそうだった。それでも両手を握りしめて話し出す。

「10年前に私の兄は亡くなりました。高宮にとって後継者を失い財閥事態存続の危機に立ちました。それには私が女性として生まれてしまったことや後継者として資格がないような器であったことを本当に申し訳なく思っています。」
もう一度栞菜は頭を深々と下げる。
< 252 / 279 >

この作品をシェア

pagetop