結婚のその先に

「私はこの１０年、藤崎財閥で働きながら高宮についても調べてきました。時に高宮の人間としての業務をしながら財閥の財政状況や今後の経営に関しても調査しました。両財閥が繋がれば古くから積み上げてきた何百、何千、何万という人の努力の結晶といえる技術が更に進化します。そして、経営難等により失わざるを得なかった技術も技術者も失わずにすみます。」
栞菜はディスプレイに高宮ブランドとして作ってきた製品と藤崎の技術を融合させる企画案を次々にあげた。

啓吾はその企画案の多さに驚いて栞菜を見る。

「私はいくつもの両財閥の技術者たちが職を失うところを見てきました。綺麗事ではなく技術もプライドをもって仕事をしてきた人のプライドもばっさりと切り捨てられる場面に立ち合ってきました。両財閥が合体することでプライドのぶつかり合いは増えると思います。それでも失わずにすむ。」
栞菜の自信に満ちた表情に希望すら見いだせる。