結婚のその先に
啓吾の父だけが会議室に残っていた。栞菜は啓吾の助けを借りて立ち上がり父の前に立つ。
「お父さん」
そう呼ぶだけで栞菜は泣きそうだった。社長や会長とばかり呼んでいてあまりにも懐かしい。
それでも必死にこらえて伝える。
「私はやっぱりお兄ちゃんにもお兄ちゃんの代わりにもなれません。ごめんね、娘で生まれちゃって。ごめんね、こんな娘で。」
栞菜の父は表情を変えることなく栞菜を見ている。
「私、お兄ちゃんになろうとするのはもう辞めます。お父さんに認めて欲しいとか、お父さんを喜ばせたいって頑張るのも、もう辞めます。」
啓吾は少し離れて二人を見つめる。
「はじめて…はじめて啓吾さんが私っていう人間を認めてくれたの。私が私でいてもいいんだって教えてくれたの。お兄ちゃんに近づくことばかり考えていた私にとっては雷でうたれたような衝撃だった。嬉しかった。」
栞菜の瞳から涙が溢れはじめる。
「お父さん」
そう呼ぶだけで栞菜は泣きそうだった。社長や会長とばかり呼んでいてあまりにも懐かしい。
それでも必死にこらえて伝える。
「私はやっぱりお兄ちゃんにもお兄ちゃんの代わりにもなれません。ごめんね、娘で生まれちゃって。ごめんね、こんな娘で。」
栞菜の父は表情を変えることなく栞菜を見ている。
「私、お兄ちゃんになろうとするのはもう辞めます。お父さんに認めて欲しいとか、お父さんを喜ばせたいって頑張るのも、もう辞めます。」
啓吾は少し離れて二人を見つめる。
「はじめて…はじめて啓吾さんが私っていう人間を認めてくれたの。私が私でいてもいいんだって教えてくれたの。お兄ちゃんに近づくことばかり考えていた私にとっては雷でうたれたような衝撃だった。嬉しかった。」
栞菜の瞳から涙が溢れはじめる。