結婚のその先に
「、、、うん。」




「こんな俺だけど精一杯栞菜を守る。精一杯あったかい栞菜の居場所を作る。だから結婚を前提に付き合ってほしい。」



啓吾は突然栞菜の前に両膝をついた。



栞菜の手を大きな骨張った啓吾の手が包む。



「順番がバラバラでごめんな。」




栞菜の瞳からは涙が溢れた。



「よろしくお願いします」



なんとか絞り出した言葉を啓吾に伝えると「こちらこそ」と言って啓吾は栞菜を抱き締めた。



この関係はなんなんだろう。
義務じゃないと言った啓吾。

でも兄のことがなければ結婚しなかったはず。

栞菜には啓吾が私のおかれた状況を配慮して言ってくれているように思えてならなかった。
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