結婚のその先に
すっかりいつものスーツ姿になり「お待たせ」と微笑んだ。




「コーヒーどうぞ」




栞菜がコーヒーをカップに注ぐと啓吾は「そんなの自分でやるから、座ってろ」と笑った。




「今日は2時から新作のコンペがあります。その後一度社に戻り、上期の決算前の会議があります。夜は20時から渡瀬商事の専務と会食です。」




1日の予定を栞菜が読み上げると「まだ仕事前なんだから敬語はやめろよ」と再び笑う啓吾はまだ無防備な顔をしている。


会社にいる啓吾とは別人のようだった。
< 39 / 279 >

この作品をシェア

pagetop