SKETCH BOOK






あたしは今、とてつもなく困っている。


今日は浩平が帰ってくる日なんだけど、
どんな顔して会えばいいのか分からない。


この五日間、
夢を見過ぎていたのかもしれない。


橙輝と喋るだけで楽しかったし、
思い出も増えたし、常に笑っていたけれど、


現実を見て見ると
そんなことしている場合じゃなかったことに気付いた。


あたしは浩平の彼女で、
橙輝を好きでいてはいけないんだ。


分かっていたつもりだったけど……。


付き合ってきて今まで
浩平とこんなに離れたことはなかったから


考えたことなかったけど、
浩平が近くにいてくれたから
今まで前を向いてこれただけであって、


本当は何も整理できていなかったんだ。


あたしは今でも橙輝が好きなままだし、
それは変わらなかったんだ。



そう気付いた今、
とてつもない罪悪感に苛まれている。


これからどんな顔して
浩平に会えばいいのか分からない。


分からないけど、
浩平に会う時間が迫っていた。



「はぁ、どうしよう」


「何がどうしようなの?」


「百合~」


喫茶店で百合に助けを求めたあたしは、
これまであったことを全て打ち明けた。



百合はパフェを頬張りながら
話を聞いてくれて、


全部を話し終えた時、ずばりと言った。



< 134 / 179 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop