SKETCH BOOK
苦しいを与えるのが橙輝で、
楽しいをくれるのが浩平。
それは分かってるんだけど。
頭と心が喧嘩し合っているというか
なんというか。
頭では浩平を選んでいるのに、
心がそれを許してくれない。
そんな感じ。
どうしようもないんだよなぁ。
「ねえ、もう時間なんじゃないの?」
「あ、本当だ!ごめん百合。この話はまた……」
「はいはい。行ってらっしゃい」
「ごめんね。ありがとう。じゃ、行ってくる」
「梓」
「ん?」
「後悔のないようにね」
「うん」
後悔のないように、かあ。
お母さんにも言われたけど、
あたしの後悔ってなんだろうな。
後悔のないようにするには、
どうするのが正解なのかな。
浩平との待ち合わせに遅れないように
走って待ち合わせの公園まで急ぐ。
まだ浩平は来ていなくて、
息を整えながらベンチに座った。
髪型を気にしていじっていると、
浩平が走ってやってきた。
「梓!ごめん、待った?」
「ううん。今来たとこ。お帰りなさい」
「ただいま」
笑顔でそう言う浩平の顔を見つめる。
少し日に焼けたのかな?
うっすらと黒くなっている気がする。
浩平は手に提げていた袋をあたしに渡した。