SKETCH BOOK
絵の中の少女
✻
「ねえ、なんで川なの?」
日曜日、あたしは
不機嫌マックスでそう呟いた。
まだ肌寒さも残る今日この頃。
ショートパンツに大きめのパーカーを着たあたしは、
川の流れを目で追っていた。
どうしてこんなところに……。
不満しかないこの状況で楽しそうなのが二人。
「パパ、なんで川なのさ!」
「釣りは楽しいぞぉ!梓ちゃん」
「釣りなんか楽しくないやい」
「ふっ。お前には
男のロマンが分かんねぇんだよ」
「何がロマンよ……」
その言葉に鼻で笑うと、橙輝に頭を叩かれた。
「痛い!」
「お前が馬鹿にするからだろ」
「だからって
叩かなくてもいいでしょう?」
どうしてこうなるの?
橙輝といると、あたしは調子が狂う。
憎たらしいし、本当にむかつく。
乱暴なところも、
馬鹿にしたような笑い方も、
全てが嫌い!
こんなやつとあたしは家族になるのか。